布袋寅泰「GUITARHYTHM Ⅴ」全曲紹介 ~BEATの洪水に溺れる~

アルバム全曲紹介

こんばんは、まんじろうです。

前回の元祖「GUITARAHYTHM」に続きまして、今日は「GUITARHYTHM Ⅴ」をご紹介しようと思います。ギタリズムⅡ~Ⅳをすっ飛ばしてしまいましたが、それぐらい個人的にはⅤへの思い入れが強いのでお許しください。

スポンサーリンク

GUITARHYTHM Ⅴ ~制作秘話&コンセプト~

「GUITARHYTHM Ⅳ」以来15年振りのギタリズムシリーズとして「GUITARHYTHM Ⅴ」は制作されました。なぜ復活できたのかというインタビューに布袋さんはこう答えています。

「世の中のイメージである”ワイルドな布袋寅泰”にちょっと疲れてきたというか、本来の自分に戻りたかったというのがあったのかもしれない。これまで”GUITARHYTHM”という言葉を出すとどこか後ろめたい気持ちがあったし、過去に戻る気もなかった。でも今回久々に”GUITARHYTHM”を自分の中に灯したら、すごく楽になった。バンドだから”BOØWY”には帰れないけど、”GUITARHYTHM”には帰れたって感じ」(Wikipediaより抜粋)

8ビートの骨太なロックンロールに「行くぜ!!」という熱い感じの布袋さんも好きですが、個人的にはアバンギャルドでマニアックな布袋さんの音楽が大好きです!

また、アルバムリリース時に布袋さんは以下の文章も発表されています。

(~前略~)
進化しながら退化した人類は、次第に過去に夢を馳せるだろう。インターネットも携帯電話も高層ビルもサプリメントも存在しなかった時代に「溢れる衝動と想像力」のみによって生まれた芸術の数々にひれ伏すだろう。

あれから20年…。私は”GUITARHYTHM”の世界に戻る。タイムカプセルであのロックンロール黄金時代に還る。甘美で危険な夢をもう一度見たいのだ。

昔も、今も、そして未来でも、コンピューターはギターを弾けない。
ギタリストにとってコンピューターは可愛いオモチャでしかない
(Wikipediaより一部抜粋)

ラストの2行がカッコ良すぎませんか…。可愛いオモチャでしかない…。さすが布袋さん…。

今作では新たに“言葉のリズム”をコンセプトに置き、進化したコンピューターやテクノロジーを駆使したり、豪華なゲストミュージシャンとの共作・共演など、まさにオモチャ箱をひっくり返したような、多彩な楽曲が収録されている「GUITARHYTHM Ⅴ」の全楽曲をご紹介していきましょう。

スポンサーリンク

GUITARHYTHM Ⅴ ~全曲紹介~

「GUITARHYTHM RETURNS」

シリーズのメインテーマである「GUITARHYTHM」のギターオーケストレーション.ver

構成や長さなどは「GUITARHYTHM Ⅱ」収録の「GUITARHYTHM REPRISE」がもとになってはいますが、コーラス部分に歪んだギターが加わることによって緊迫感が増したように感じます。

「INTRO ~Welcome to G.V~」

クリス・ペプラーによる、まるで映画の導入部分のような開幕宣言。

後述のG.VツアーではこのSEからライブがスタートし、鳥肌モノでした。

「DECALOGUE」

今作のコンセプトである“言葉のリズム”を突き詰めたような、実質的1曲目

歌に関してもメロディというよりは、“言葉のリズム”に支配されたまま歌っており、ギターリフやギターソロですらも“言葉のリズム”に支配されているような感じがします。

ですが、森雪之丞さん作詞の歌詞はリズミカルで、意味としても非常におもしろい歌詞になっているかと思います。「韻詞(ライム)は暗号書 解きあうライブはサーカス・ショー」とかたまらないですね。

ちなみに、“DECALOGUE”とは”十戒”の意味だそうです。

「SCIENCE KILLED THE FUTURE」

直訳で“科学が未来を殺した”。終始、タイトルコールのようなコーラスが印象的。

物騒なタイトルや皮肉たっぷりの歌詞に反して、コミカルな歌い方でとてもキャッチーな8ビートのロックナンバー。こちらも作詞は森雪之丞さん。

特筆すべきは、カウントダウン風な導入部分も含めたドラマティックなギターソロ。テクニックに走らずに、どこまでもリスナーをワクワクさせるようなギターを弾いてくれるから布袋さんのギターはたまりません!

「SUNSHINE OF YOUR LOVE」

あの、エリック・クラプトンが在籍していたCREAMの有名曲をギタリズムらしくデジタルロック風に大胆にカバー。中盤のギターソロもガッツリ弾き倒されております。

今作は、最初にこの曲のデモテープが出来た際に「これってGUITARHYTHMっぽいかも」と感じたことがギタリズム復活のきっかけとなったそうです。

「風の銀河へ」

コブクロの小渕健太郎さん作詞の共作曲。コーラスとしても参加されています。

そして、この曲こそ私が布袋さんを知るきっかけとなった楽曲です。ギタリズム5発売時、NHKのSONGSで特集された際に小渕さん目当てで番組を観ていなければ、この出会いはありませんでした。そのSONGSの1曲目に「C’MON EVERYBODY」が演奏されており、そのキレッキレの布袋さんのギターに衝撃と感動を受け、エレキギターを手に取り、今に至ります。それぐらい私にとっては大切な曲です。

楽曲としても、骨太な8ビートのロックンロールに小渕さんの煌びやかな歌詞が乗り、いつもと少し違う雰囲気でありながらもギターソロではサスティナー全開の布袋節が効いた痛快なロックナンバーかと思います。

「TiC TaC」

RIP SLIMEのFUMIYAさんとの共作曲。
今作中で最も慌ただしく、展開が複雑でトリッキーなナンバー

こんなに音数が詰め込められた楽曲ながらも、ライブではピートコーニッシュシステムのSOS(サウンド・オン・サウンド)と呼ばれる飛び道具エフェクトを使用し、原曲以上にギターを弾きまくっています。あのライブ映像は必見です。

歌詞の「Q:生涯平均2億回の心拍数、さて今のは何回目?」は考えれば考える程、鳥肌が立ちます。

「VICIOUS BEAT CLASHERS」

大沢伸一さんとの共作楽曲であり、今作中で最も過激なトラック

タイトルを連呼するコーラスこそあるが、歌は無く、ギターインストでも無いリズムトラック

ノイズサウンド、サイレン、リズムギターが暴れて鳴り響く、アバンギャルドな楽曲。

ライブでは、布袋さんお得意の強烈なカッティングとF○CK Y○Uを披露してくれました。

「OPUS」

先ほどとは一変して、とても穏やかなギター1本だけの”静”のギターインスト曲

スタジオに篭り、数時間ギターを弾いてるうちに完成していた曲とのことです。

「BEAUTIFUL MONSTERS featuring LOVE」

軽快なカッティングが堪能できる、女性ボーカリストLOVEさんとのフィーチャリング楽曲

ライブでは、東京公演のみアンコールにLOVEさんご本人が登場し、共演が実現しました。

1サビ後に来る、二段階の伸びやかな長尺ギターソロは必聴です。

「アストロノーツ」

“もしも宇宙飛行士が、宇宙で自殺を計ったら…”

という、少しゾッとするコンセプトで制作された森雪之丞さん作詞の共作楽曲。

歌とギターソロを交互に繰り返す構成になっているのですが、段々と過激になってくるギターソロと最終的に歌メロにギターが合流する展開がお見事です。最後のノイズも完ペキ。

「PSYCHO DISCO」

いきなりノイジーなギターリフで始まる、亡霊たちが集う危険なディスコでのダンスナンバー

この曲は残念ながら、G.Vツアーでは演奏されませんでしたがいつかは爆音のライブで聴いてみたい楽曲です。

「GUITARHYTHM Ⅴ」はここからさらに、マニアックな世界へ続いていきます。

「COSMIC PIRATES」

森雪之丞さん作詞の歌詞が登場人物のセリフになっている、宇宙の海賊たちのテーマソング

中盤のギターソロ前に出てくるセリフは、この曲で“最後の女神”役をつとめる女性歌手サンディーさんによるアドリブとのこと。

「天空のDIVA」

2008年に東大寺で行われたスペシャルライブで共演されていた、女性オペラ歌手の中丸三千繪さんとの共演作であり、オペラボイスとギターのユニゾンによるインストゥルメンタル曲

両者の奏でる澄んだメロディがとても美しい楽曲です。

「APPLES」

會田茂一との共作楽曲。とても前のめりで勢いのある、明るいロックナンバー。

こちらも残念ながら、G.Vツアーでは演奏されなかったが1度はライブで聴いてみたい楽曲。

「NO TURNING BACK」

The THREEでの「裏切り御免」に続く、KREVA作詞による共作楽曲

当初は別のテーマで制作予定であったが、KREVA氏がこの歌詞を書いてきたことにより現在の形となったとのこと。”言葉のリズム”がコンセプトである今作にぴったりの楽曲だと思います。

ギターソロが珍しく、とても歪んだ(恐らくファズを使用した)サウンドとなっています。

「OUTRO ~To be continued~」

「INTRO」の後半部分が少しアレンジされた楽曲。

今作リリース時に発売された”別冊カドカワ”では、布袋さん曰く「あ、最後のcontinuedに”?”をつけるの忘れちゃった~」と冗談っぽく言われていました(笑)

G.Vツアーのライブ映像でBEATの洪水に溺れろ!

以上、ギタリズム5を全曲ご紹介してみました。いかがだったでしょうか?

布袋さん好き、ギター好き、デジタルロック好きにはド真ん中の傑作となっておりますので、是非チェックしてみてくださいね。

そして、私がさらにご提案したいのは、是非ともライブ映像も併せてご覧頂きたいです。アルバム作品ではギターがやや聴き取りづらかった感もありますが、ライブ映像ではゴリゴリのギターサウンドでハッキリと布袋さんのギターを堪能できます。このツアーでは“GUITARHYTHM”シリーズを全作振り返るような夢のようなセットリストが組まれており、布袋さん初心者の方にもオススメの1枚となっております。是非チェックしてみてください。おしまい。

コメント